火山の世界の話(1)
暑い。
世界に着いての第一声が、それだ。
その理由は見渡して見て即座に理解した。山が、火を吹いている。
それは俗に言う火山なのだが、数がまず尋常じゃない。見渡す限りの火山、火山、火山。もちろん、そんな大地には草木一本見当たらない。
「とんでもないところに来ちまったな...」
こんなところに住民なんているのだろうか。
暑い、というのは慣れている。
どこの世界にも砂漠みたいな暑い所はあったし、砂漠だけの世界なんてのもあった。
だがこの火山の、マグマによる暑さ...いや、熱さか、とにかく、砂漠の時のような照り付ける暑さとはまた違った、じわりじわりと侵入してくる熱は中々にきつい。
嗚呼、まるで熱された釜の中にいる気分だッ‼
思わず天を仰げば、火山灰に覆われた灰色の空がオレを見下ろしていた。
暫く歩くと、景色にも変化があった。
今まで火山と流れるマグマだけの光景に無造作に転がる大きな岩が追加されたのだ。
その一つの岩に、ある物を発見した。
「これは...絵、なのか...?」
例えるなら、チョークで描かれた子供の落書き。
白と赤の落書き、恐らくは石灰と辰砂、もしくは酸化した鉄によるものか、何が描かれているのかは分からないが、これならオレが描いた絵のほうがマシだ。
「いや、そうじゃなくて。」
これは大きな発見だ。この世界にちゃんと住民がいるという事が証明されたのだから。こんな住みにくそうな世界の住民...どんな奴らなんだか。
その住民を探そうと場を後にしようとした時、ビュッと風を切るような音を立てて矢のような物が、オレの頬を掠めていった。